低炭素社会実現に向けて
SOFC発電効率80%に挑戦

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技術開発

INTERVIEW WITH

KOKI SATO

基盤技術部 応用技術研究所 高効率エネルギーシステムチーム

佐藤 洸基

2012年度入社
環境情報学府 環境システム学専攻

入社動機

父親がエネルギー関連の仕事をしていた影響もあって、石油、ガスなどのエネルギー業界を中心に就職活動を展開。東京ガスは天然ガスに関する高い技術力をもち、社会に大きな影響を与えている企業として注目しており、就職活動当初から第一志望だった。また、天然ガスの調達から、一人ひとりのお客さまにエネルギーを届けるまで、事業の幅も広く、自分の仕事が直接お客さまの喜びに繋がり、やりがいや達成感を感じる機会が多いのではないかと感じたことも志望理由になった。

CAREER

  • 2012年 商品開発部 SOFCプロジェクトグループ
  • 2013年〜2017年 基盤技術部 エネルギーシステム研究所
  • 2017年〜2018年 人事部 人材開発室(兼務)
  • 2018年 基盤技術部 応用技術研究所

01

現在取り組んでいる研究テーマは?

入社以来、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に関する研究開発に携わっています。SOFCは化石燃料を用いた発電装置のなかでもっとも発電効率が高く、低炭素社会実現に向けたキー技術として期待されています。すでに家庭用燃料電池エネファームとして実用化されていますが、私は将来を見据えた、より高効率なSOFCの研究開発に取り組んでいます。 当社が九州大学と共同で行ったシミュレーションによって、最大80%を超える発電効率が期待できることが確認されています。最新鋭の火力発電所の効率が60%ほどですので、これがいかに画期的な効率であるかがわかると思います。そのためにはSOFCの電解質と呼ばれる部分に従来の酸化物イオンではなく水素イオンを伝導する材料を用いることが必要で、私たちはその新規電解質材料の研究開発に力を注いでいます。開発の課題は発電性能と信頼性の両立です。発電性能の高い材料は活性が高いこともあり、往々にして化学的に安定性が低く、例えば燃料中に含まれるCO₂等と反応して壊れてしまう問題があります。これらの問題を解決し、お客さまに安心してお使いいただける究極の発電システムを目指して、社内だけでなく大学や研究機関、メーカーなど社外の様々な研究者の方とも積極的に情報交換を行いながら日々取り組んでいます。

INTERVIEW WITH

KOKI SATO

02

その研究成果は社会にどのような変革をもたらすのでしょう?

現在は、発電効率80%という非常にチャレンジングな目標に対して技術課題の見極めを行っている段階です。すぐに実現できるものではなく長期的な取り組みになりますが、これが実現すれば世の中に非常に大きなインパクトを与えることは間違いありません。

たとえば発電系統の転換です。現在は大規模な発電所で集中発電していますが、将来的には地域単位で発電量をコントロールできる分散型発電へとシフトチェンジしていくでしょう。エネルギーロスを最小化し、限りある化石燃料を有効利用することで、CO₂排出量も大幅に削減されるはずです。2015年の気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で結ばれたパリ協定では、今世紀末までの気温上昇を2度以内に抑えることが目標として定められ、そのためには世界の温室効果ガス排出量を2050年までに約40~70%削減する必要があるとも言われていることから、現在の研究テーマは地球温暖化抑制に大きく貢献できると自負しています。

東京ガスは1980年代からSOFCに関する研究に取り組んでおり、この分野では世界トップレベルの知見とノウハウを持っています。先輩方がエネファームを事業化させたように、私も現在取り組んでいる燃料電池分野の第一人者に成長し、地球規模の環境問題に貢献したいと思っています。

03

今後手がけてみたい
研究テーマはありますか?

私が所属する応用技術研究所では、東京ガスの将来の事業創出に向けた研究開発を行っています。具体的にはこれまで培ってきた自社の技術や外部の技術を積極的に活用し、どうすればビジネスになるかを提案し、事業部と協力しながら実現をめざしていく。いわば技術と事業の架け橋になることが我々の役割です。これまではガスが売れれば会社の利益に繋がっていましたが、エネルギー自由化で他社も参入できる環境になった現在では、エネルギーに関わる研究が必ずしも当社の利益に直結するとは限りません。どういったスキームで事業を行い利益を出すのか、他社に対して当社の優位性があるか、などこれまで以上に考える必要があります。

私自身は子どもの頃から環境問題に関心を抱いていたこともあり、二酸化炭素排出を抑制するだけでなく、回収して利用するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)に興味を持ち、その研究にも取り組み始めています。しかし、現在取り組んでいる研究テーマをビジネスに結びつける事業創出のための基本的な知識が不足していると感じています。そのため、今年度から始まった「TG MBAプログラム」と呼ばれる社内の研修プログラムに参加し、経営戦略に関わる知識についても学び始めています。今後の会社の将来を担っていく様な新規事業を創出することが最終的な目標です。

仕事における誇りと喜び

発電効率80%という非常に高い目標に挑戦できることは研究者冥利につきます。発電効率の向上は世界で競い合っている分野で、最先端の知識や情報に触れることは私にとって大きな刺激であり、喜びです。そして、エネルギーは人々の暮らしに欠かせないものであり、地球環境にも大きく関わっています。発電効率80%という目標が達成されれば、社会を大きく変える可能性を秘めています。将来、子どもが大きくなったとき、この社会変革に自分が関わったのだと胸を張ることができれば、誇らしいと感じられると思います。

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2012年度入社 | システム情報工学研究科

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