INTERVIEW

転職者インタビュー

米国の再生可能エネルギー市場で、
欧米トッププレイヤーと肩を並べる
プレゼンスを確立したい。

TSUYOSHI MORISAKI

2019年度入社

海外事業カンパニー
海外事業企画部
東京ガスアメリカ

※所属部署はインタビュー取材当時のものになります。

CAREER PATH

前職

海外営業のスペシャリスト

損害保険会社の営業を経て、重工メーカーに転職。火力発電所向けの発電設備やメンテナンスの海外営業を皮切りに、海外営業分野でキャリアを重ねた。メキシコEPCプロジェクトの商務責任者やメキシコ現地法人の営業部長など、海外駐在経験も豊富。帰国後は欧州中東向けの営業チームを統括する傍ら、大学院にてMBAを取得した。

現職

新規太陽光発電プロジェクト

東京ガスアメリカの再生可能エネルギー(再エネ)部門の事業開発チームに所属。新規の大型太陽光発電プロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めている。チーム内で連携して遂行するディベロッパーとの交渉、工程管理、経済性分析、税額控除の枠組み利用可否検討といった一連の活動を統括しつつ、全体を俯瞰したプロジェクトの進捗確認や方向性の検討・決定を行っている。

転職後のキャリア

1年目/2019年度

海外事業推進部 海外事業開発第二グループ

メキシコ向け再生エネルギープロジェクトの新規事業開発、デューデリジェンス業務などを担当。いずれ海外駐在と聞いてはいたが、入社3か月後の駐在辞令のスピード感にいい意味で驚いた。

2年目/2020年度以降

東京ガスアメリカ

メキシコにおける再エネプロジェクト部門に所属し、メキシコでの新規事業機会の探索、デューデリジェンス、事業パートナーとの交渉などを担当。4年目に米国における再エネ部門の事業開発チームに異動し、新規太陽光発電プロジェクトの事業開発プロジェクトマネージャーに。

INTERVIEW

Q1

転職先として東京ガスを選んだ理由を教えてください。

前職で火力発電プラントの機器営業、EPCの海外営業はやり切ったという思いがありました。メキシコ駐在時には営業部長として、30名のスタッフをマネジメントしての大型プロジェクトの受注にも成功。社内すべての製品をカバーした営業活動も経験できました。充足感を抱いて帰任し、次に目指すべきキャリアとして思い描いたのが、発電機器メーカーの立場から電力事業開発という立場へのシフトチェンジです。
これまでもお客さま先として事業開発者との接点は多く、発電プロジェクトを成立させるための視点の違いや、事業領域の広さに関心を持っていました。事業を成立させるためにはEPCだけでなく、ファイナンスや許認可、保険など、360°全方向にわたる課題を乗り越えていく必要があります。この関連する車輪のハブになれることが、事業開発の醍醐味であると思いました。
東京ガスを選んだのは、2019年に東京ガスがメキシコで再エネ事業へ進出するという記事を読んだことがきっかけです。海外向け事業投資の拡大を目指す東京ガスのビジョンと自身のキャリアビジョンが一致しており、これまでの経験を活かせると感じました。

Q2

現在の仕事内容について教えてください。

東京ガスアメリカの再エネ部門は、既存アセット向けのアセットマネジメントチームと、新規プロジェクトを探して開発を進める事業開発チームで構成されています。私は事業開発チームに所属し、プロジェクトマネージャーとして新規の大型太陽光発電プロジェクトの取りまとめを担っています。
事業開発にも種類が幾つかありますが、現在取り組んでいるのは、グリーンフィールドと呼ばれる何も無い土地にゼロから発電プロジェクトを生み出す仕事です。それは用地選定や許認可取得などの開発業務、EPC、ファイナンス調達、保険調達、経済性評価など、多様な業務の複合的な組み合わせであり、複数のチームや担当者が関わります。これらのチームやメンバーそれぞれに役割がありますが、事業全体をスムーズに進展させていくためには、それぞれを結びつけ、束ねていく必要があります。つまりプロジェクトマネージャーとはオーケストラの指揮者。いや、自分自身も手を動かすという意味ではプレーイングマネージャーかも知れません。
プロジェクトを目指すべき方向に牽引していくという側面では、前職のEPC業務の商務取りまとめの経験が活きており、担当が明確でない“三遊間のゴロ”を、どのように拾っていくかという点では通じるものがあると感じています。また事業開発では保険とEPCが密接に関わっており、保険会社から重工メーカー、そしてエネルギー会社という、一見関連性が無いように見えるキャリア・経験が自身の強みになっています。

Q3

これまでの経験が活きている点は?

事業開発を進める際には、数多くの契約について交渉・締結していく必要があり、その中でも重要な契約として、EPC契約、メンテナンス契約、ファイナンス契約が挙げられます。これらの契約には保険に関わる条項があり、自然災害リスクなどのプロジェクトを取り巻くリスクと、その対応手段としての保険について議論がなされます。従って、例えばEPC契約の交渉であれば、EPCで想定されるリスクは何か、それに対して保険を付与すべきか、付与するならどういった保険が有用か、EPCやファイナンス契約上の保険会社の要求はどうなっているかといった関連性をイメージしながら、プロジェクトオーナー視点で最適なEPC契約や保険メニューを検討したり協議できるという点で、これまでの経験が活きていると思います。最終的には、想定されるリスクに対して、過不足無くリスクヘッジ策が機能している状態を作っていくことが必要であり、その際に、これまでのEPCと保険の両方の業務経験で培った視点を直接的に活かせています。またプロジェクトオーナー側に立ったことで、発電プロジェクトをより包括的かつ多角的視点で捉えることができるようになったと思います。自身のバックボーンである保険、EPCをベースにしながら、実際の発電事業に携わることで、株主間協定、ファイナンス、電力供給契約(PPA)などとの関連性がより理解でき、全体を見渡せるようになってきています。その意味で、私自身のキャリアの幅は大きく広がりつつあると実感しています。

Q4

入社後に感じたギャップや改善点はありますか?

入社当初は担当する領域の違いに驚きました。重工メーカーでは技術系と事務系が完全に分かれており、役割分担が明確でしたが、東京ガスは海外事業カンパニーに限らず、技術系と事務系の垣根が低く、どちらの領域も幅広く担当する傾向が強いようです。一緒に仕事をしていたメンバーが、かなり後になって実は技術畑(あるいは事務畑)と聞いて驚くこともあります。前職では事業部門の中で異動するケースが多く、各自に事業や担当地域のいわゆる“背番号”が付きましたが、東京ガスはさまざまな事業部をまたいで定期的に異動するケースが多いです。
企業風土に関しては、予想以上に現場で自ら汗をかく泥臭い仕事が好きで、かつ得意な社員が多いですね。入社前よりも、組織はフラットで人材育成にも積極的だと感じています。
ただ、人材の多様性という意味では、伸びしろがあると感じています。社員は新卒で入社した日本人が多いですし、さまざまな部門間を異動するため、スペシャリストとしてのキャリアパスの選択肢もまだ少ない。そしてこれは日系のエネルギー企業全般に言えることですが、安全性や確実性を重視するあまり、意思決定に時間を要する傾向があると感じています。個人的には海外事業は走りながら考える要素もあり、「if」を積み重ねすぎるとリスクをとれずにチャンスを逃してしまうことも考えられます。大事なことは取れるリスクと取れないリスクを適切に見極めて、取れないリスクに対しては、保険に転嫁する等の対策を検討することだと思います。もちろん暴走は論外ですが、リスクを見極めて一歩を踏み出す。その役割を、私たち経験者採用で入社した社員に期待されているのだと思っています。

Q5

今後の目標、キャリアビジョンを教えてください。

事業開発はさまざまなピースを組み合わせるジグソーパズルと似ています。ようやくすべてのピースが揃いそうな案件がいくつかありますので、全世界ベースで2030年までに600万kWの再エネ電源を取扱うという目標に向けて、新規太陽光発電プロジェクトを推進することが当面の目標です。
長期的には、海外現地法人や出資先事業会社の経営に挑戦してみたいですね。目指すべきは、脱炭素バリューチェーンの構築。再エネは脱炭素社会の基盤です。合成メタンの製造も、再エネ由来の水素がなければ発展しません。そのためにも大規模発電が可能な海外で、再エネ事業を拡大していく必要があります。米州市場において、開発・建設・運転を一貫して自身の力で遂行できるグローバル再エネ事業者としてのプレゼンスを確立し、近い将来にはその基盤をベースに、中南米の成長新興国への進出や、そこでの日系企業向け電力供給なども視野に入れたい。今後は海外事業比率が高まっていくと思いますので、少なくとも米国市場において、欧米系のトッププレイヤーに並びたいと考えています。
また、これまでのキャリアを活かすという意味では、東京ガスグループのリスクをマネジメントする部門の立ち上げにも関わってみたいですね。